就業規則


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事業場(会社単位ではなく、支店・工場など単位です)で働く労働者数が、常態として10人以上であれば、事業主は必ず就業規則を作成しなければなりません。

この場合の「労働者」には、いわゆる正規社員のほか、パートタイム労働者や臨時のアルバイト等すべての者を含まれます。

なお、事業場の労働者数が常態として10人未満である場合には、労働基準法上は就業規則を作成しなくても差し支えないこととされていますが、労働条件や職場で守るべき規律などをめぐる事業主と労働者との間の無用の争いごとを未然に防ぎ、明るい職場づくりに寄与するという就業規則の役割から考えて、就業規則を作成しておくことをお勧め致します。

就業規則には記載しなければならない事項が決められています。以下東京労働局の就業規則のひな形のリンクがあります。

word版をダウンロードしてご自由にご利用ください。

※こちらはあくまでも東京労働局作成のひな形です。このまま運用すると労使間のトラブルが発生するケースも考えられます。

事業場の実態に合うように編集し、労働者の意見書をとり、所轄の労働基準監督署に提出してください。

※以下の作成例に載っている規程例や解説を参考に、各事業場の実情に応じた就業規則を作成・届出してください。

 

【全体版】 → 就業規則の作成例(全体・PDF版) 就業規則の作成例(全体・Word版) 

【分割版】  → はじめに及び目次 Word版

第13章
公益通報者保護

   

 

就業規則の作成例は、全て合わせて1つのものとなります。

 

 

就業規則に不備がありますと個別労働紛争に発展する可能性が高くなると思われますので、企業の実態に適合した就業規則を作成することをお勧めします。

例)退職金の規程をそのまま運用し、会社の支払い能力を超える退職金を支給しなければならなくなった(数百万・数千万支払わなければならなくなって困ったなどのお問い合わせもいただいております) など

当事務所では労働基準法などの法令、行政通達等を踏まえて、社会保険労務士が直接ヒアリングを行い、法令等に適合し、かつそれぞれの企業に適合する就業規則を作成しています。

初回のご相談は無料とさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
(法人・個人事業主の相談に限ります)

電話番号 042-626-0808

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就業規則の作成及び届出の義務等(法89条)

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。 等

(1)就業規則の作成・届出義務(法89条)

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定事項について就業規則を作成し、政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。当該事項を変更した場合においても同様である。

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  • 常時10人以上の労働者を使用するに至った場合においては、遅滞なく、就業規則を作成し、届け出なければならない。(則49条1項)
  • 常時使用労働者数が10人以上であるために就業規則を作成し、届け出ている場合であっても、その後就業規則を変更する時点で常時使用労働者数が10人未満である場合には、就業規則の変更について届け出る必要はない。
  • 「労働者」とは当該事業場に使用されているすべての労働者をいい、正規従業員だけでなく臨時的、短期的な雇用形態の労働者はもちろん、他社へ派遣中の労働者も含まれる。(通達)
  • 「常時10人以上」とは常態として10人以上ということであり、時には10人未満になる場合も含まれる。逆に、常態として10人未満であれば、業務の繁忙期に10人以上の労働者を使用することがあっても就業規則の作成、届出の義務は発生しない。
  • 常時10人未満の労働者を使用する使用者において就業規則を作成したときは、それも本法にいう「就業規則」として、第91条[制裁規定の制限]、第92条[法令及び労働協約との関係]及び第93条[効力]の規定は適用されると解すべきである。
  • 常時10人未満の労働者を使用する使用者において就業規則を作成したときに、法第89条[作成及び届出]や法第90条[作成の手続き]も適用されるというわけではないので例えば、その就業規則を行政官庁に届け出る必要もない。ただし、法第90条については、罰則を除き適用すべきとする説もある。
  • 就業規則の一部に変更を加えたときも届け出なければならない。
  • 就業規則は、複数の事業場で作成し、それぞれの事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に届け出なければならない。
  • 会社全体の社員数が10人以上でも、すべての事業場の社員数がそれぞれの10人未満であれば終業規則の作成・届出義務はない。
  • 賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容の者である場合において、その効力を生ずるものというべきである(判例)
  • 新たな就業規則の作成又は変更によって労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、ここの労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されない(判例)
  • 従来年間24日の生理休暇を有給とする旨の就業規定があり、これにより基本給の100%を保障していたのを、月2回を限度とし基本給の68%を保障すると一方的に変更することは、有給生理休暇取得の濫用のため社内規律の保持及び従業員の公平な処遇を図るべき合理性があり、労働者がこれに同意しないことを理由としてその適用を拒むことは許されない(判例)

(2)適用範囲

同一事業場内において、法3条(均等待遇)に違反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えない。従って、例えば正規従業員の就業規則とは別個にパート社員の就業規則を定めてもよい。ただし、就業規則の本則において当該別個の適用対象となる労働者に係る適用除外規定又は委任規定を設けることが必要である。(通達)

  • 別個の就業規則を作成する場合には、当該2以上の就業規則を合わせたものが法89条の就業規則となるのであって、それぞれが単独で同条の就業規則となるものではない。
  • 一部の労働者に別の就業規則を作らずに、その事業場で定められている就業規則の全部又は一部を適用しないとするようなことは認められない。

(3)記載事項(法89条各号)

就業規則の記載事項には、必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項と定めをする場合においては必ず記載しなければならない相対的必要記載事項がある。

絶対的必要記載事項 

①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に終業させる場合における就業時転換に関する事項
②賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
③退職に関する事項(解雇の事由を含む)

相対的必要記載事項

④退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
⑤臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、及び最低賃金に関する事項
⑥労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
⑦安全及び衛生に関する事項
⑧職業訓練に関する事項
⑨災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑩表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
⑪①~⑩に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される事項

  • 法41条第3号の監視・断続的労働の許可を受けた者についても法89条は適用されるので、就業規則には始業及び就業の時刻を定めなければならない。(通達)
  • 「所定労働時間をける労働の有無」は法15条1項の規定により使用者が労働契約の締結に際して労働者に対して明示しなければならない労働条件の一つとされているが、就業規則の絶対的必要記載事項又は相対的必要記載事項とされていない。
  • コアタイム、フレキシブルタイムは始業及び就業の時刻に関する事項であるのでこれらの時間帯を設ける場合には、これらについて就業規則に規定しておかなければならない。(通達)
  • 育児・介護休業法による休業も、就業規則の記載事項である「休暇」に含まれるものであり、育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要がある。なお、育児・介護休業法においては、育児休業対象者、申出手続、育児休業期間等が具体的に定められているので、育児休業法の定めるところのより育児休業を与える旨の定めがあれば記載義務は満たしていると解される。(通達)
  • 旅費に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項ではないので、就業規則中に旅費に関する定めをしなくても差し支えないが、旅費に関する一般的規定を作る場合には法89条1項10号により(事業場の労働者のすべてに適用される定めに該当するので)就業規則の中に規定しなければならない。(通達)
  • 退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合には、これは退職手当の決定及び計算の方法に関する事項に該当するので、就業規則に記載する必要がある。(通達)

 

  • 就業規則が絶対的必要記載事項の一部を欠いている場合又は相対的必要記載事項中、当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない場合は、本条違反となるが、このような就業規則であっても、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効である。
  • 法32条の2,1項の1箇月単位の変形労働時間制の規定により労使協定において各日、各週の労働時間等を定めた場合であっても、就業規則において法89条に規定する事項を定める必要がある。(通達)
  • 労使協定の各条にそのまま就業規則の内容となり得るような具体的な始業、終業時刻が定められている場合に限って、就業規則で1年単位の変形労働時間制が適用される者の各日の始業及び終業の時刻を就業規則本体に明記しなくてもよい。ただし、この場合には、就業規則の中に、引用すべき労使協定の条文番号を明記し、かつ、就業規則の別紙として労使協定を添付する必要がある。(通達)
  • 労働協約の各条にそのまま就業規則の内容となり得るような具体的な労働条件が定められている場合に限って、就業規則の中に「労働基準法第89条により就業規則に記載を要する事項でこの規則に定めるものの外、すべて労働協約の通りとし、その規則に重複記載することを省略する」旨の条項を設け、労働協約との重複事項を省略しても差し支えないが、就業規則の中に、引用すべき労働協約の条文番号を明記し、かつ、就業規則の別紙として労働協約を添付することが必要である。(通達)
  • 慣習等により労働条件の変更等につき労働組合との協議を必要とする場合において、その旨を就業規則に記載するか否かは当事者の自由である。(通達)
  • 就業規則において、退職後一定期間、同業他社への就職を禁止することは、社員の職業の自由を不当に拘束するものとは必ずしもいえず、これにより退職金を減額しても賃金の全額払いの原則に反するものではなく、また公序良俗に反し無効とはいえない。(通達)
  • 同一事業場において、労働者の勤務態様、職種等によって始業及び終業の時刻が異なる場合は、就業規則に勤務態様、職種等の別ごとに始業及び終業の時刻を規定しなければならない。ただし、パートタイム労働者等のうち本人の希望等により勤務態様、職種等の別ごとに始業及び終業の時刻を画一的に定めないこととする者については、就業規則には、基本となる始業及び終業の時刻を定めるとともに、具体的には個別の労働契約等で定める旨の委任規定を設けることで差し支えない(通達)
  • 派遣中の労働者について画一的な労務管理を行わない事項については、就業規則にその枠組み及び具体的な労働条件の定め方を規定すれば足りる(通達)
  • 退職手当として、確定給付企業年金制度に基づき年金或いは一時金が支払われる場合、保険会社の事務的理由等によりあらかじめ支払い時期を設定することが困難な場合は、支払時期を確定日とすること必要はないが、いつまでに支払うかは明確にしておく必要がある(通達)
  • 欠勤(病気事故)した場合、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振替える扱いについては、当該取扱いが制度として確立している場合には、就業規則に規定することが必要である(通達)

(4)作成の手続(法90条)

使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない
使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

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  • 「労働組合等の意見を聴かなければならない」とは、労働組合等との協議決定を要求するものではない。すなわち、労働組合等の意見の内容が当該就業規則に全面的に反対するものであっても、変更前の就業規則に協議決定又は同意を要する旨の記載がない限り、就業規則の効力には影響がない。(同意までは要求していないのでこの場合でも変更命令は出せない。)
  • 一部の労働者についてのみ適用される本則とは別個に就業規則を作成した場合、その作成又は変更に際しては、当該事業場全体の労働者の過半数で組織する労働組合又は過半数代表者の意見を聴かなければならない。(通達)
  • 意見書を添付した届出の受理について、行政官庁は、労働組合が故意に意見を表明しない場合又は意見書に署名又は記名押印しない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理する。(通達)
  • 複数の事業場のある会社では、原則として、それぞれの事業場の従業員の過半数で組織する労働組合等の意見を聴かなければならない。
  • 複数の事業場を有する企業等が、当該企業等の複数の事業場において同一の就業規則を適用する場合であって、本社において一括して就業規則の作成等を行い、かつ本社以外の事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長(所轄署長)あてに届け出る就業規則を本社の使用者が取りまとめて、当該本社の所轄署長に届出を行う場合には、過半数労働組合等の意見書がその正本が各事業場ごとの就業規則に添付されていること等の一定の要件を満たしているときは、本社以外の事業場の就業規則についても届出があったものとして取り扱うものとする。(通達)
  • 「労働者」とは、当該事業場に使用されているすべての労働者をいうので、派遣元の使用者は(派遣先に)派遣中の労働者も含めて過半数で組織す労働組合等の意見を聴かなければならない(通達)
  • 労働組合が単一組織である場合は、本社において労働組合本部の意見を聴取することし、支部等の意見聴取を行わないこととしても差し支えない。ただし、当該事業場の労働者の過半数が本社において意見を聴取する労働組合に加入していない場合には、別に、当該事業場の過半数で組織する労働組合等の意見を聴取しなければならない。
  • 就業規則に添付する意見書には、労働者を代表するものの署名又は記名押印がなければならないこととされている(則49条2項)が、意見書に署名又は記名押印がない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限りは受理される(通達)
  • 「過半数組織(代表)」の意味は、「労使協定」で述べたとおりである。従って、例えば、正社員で組織する労働組合がパート労働者を含めた全労働者の過半数で組織していれば、パート労働者の就業規則を作成・変更するに当たっては、正社員で組織する労働組合の意見を聴けば足りる。また、その労働組合がその後過半数で組織しなくなったとしても、改めて過半数代表者等からの意見聴取を行う必要はない。
  • 就業規則の一部変更の場合でも、所轄労働基準監督署長の命令により変更する場合でも、労働組合等の意見を聴かなければならない。

(5)制裁規定の制限(法91条)

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

  • 平均賃金については、減給制裁の意思表示が相手方に到達した日を持ってこれを算定すべき事由の発生した日とされる。(通達)
  • 1日に3回の違反行為があった場合は、1回の減給額が平均賃金の半額以内であればよく、3回分の減給額の合計が平均賃金を超えていても差し支えない。(通達)
  • 1賃金支払期に5回の違反行為があった場合には、その5回分の減給額の合計がその賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならないので、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合には、その部分の減給は、次期の支払期に延ばさなければならない。(通達)
  • 1回の違反行為に対して平均賃金の1日分の半額以内で何回も減給するようなことは認められない。
  • 「賃金の総額」は、通常の賃金の総額をいうのではなく、「現実に支払われる賃金の総額」をいう。つまり、欠勤等により1賃金支払機に支払われる賃金の総額が少額となったときは、その少額となった賃金の総額の10分の1を超えてはならないのである。(欠勤等を予定しない通常の賃金の10分の1を超えなければよいのではない)
  • 賞与も賃金であるので、制裁として賞与から減額することが明らかな場合は、本条の減給の制裁に該当する。従って賞与から減給する場合も1回の事由については平均賃金の2分の1を超え、また、減給の総額は賞与の総額の10分の1を超えてはならない。(通達)
  • 就業規則の作成義務のない使用者が作成した就業規則についても当該規定は適用される。
  • 1回の違反行為に対し、無給の自宅待機を命じておき、その後に正式な処分として減給処分を課すというような扱いは、1事案に対し二重の処分を課すことになり、刑法の一事不再理の原則に反するので、認められないと考えられる。
  • 使用者がその雇用する従業員に対して課する懲戒は、広く企業秩序を維持確保し、もって企業の円滑な運営を可能ならしめるための一種の制裁罰である(判例)
  • 労働者が就業時間外に職場外でビラの配布行為であっても、ビラの内容が企業の経営政策や業務等に関し事実に反し、又は事実を誇張、わい曲して記載したものであり、その配布によって企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなどの場合における当該ビラ配布行為を理由とする懲戒処分は有効である(判例)
  • 次のようなものは減給の制裁には当たらないとされている(通達)
    ①遅刻、早退した時間分の賃金カット。ただし、遅刻、早退した時間分を超えるような賃金カットは減給の制裁となる。
    ②出勤停止処分を受けた場合の出勤停止期間中の賃金カット。ただし、この場合は、就業規則に出勤停止期間中は賃金を支払わない旨を定めていなければならない。
    ③懲戒処分を受けた場合には昇給せしめないといった昇給の欠格条件の定め)
    ④制裁として格下げになったことによる賃金の低下。ただし、従前の職務に従事せしめつつ、賃金のみを減ずるような場合は減給の制裁となる。

(関連ニュース記事)

・コンビニエンスストア最大手、セブン-イレブンの東京都武蔵野市内の加盟店が、風邪で欠勤したアルバイトの女子高校生(16)から9350円の「罰金」を取っていたことが分かった。セブン-イレブン・ジャパンは「労働基準法違反に当たる」として、加盟店に返金を指導した。
親会社セブン&アイ・ホールディングスの広報センターなどによると、女子生徒は1月後半に風邪のため2日間(計10時間)欠勤した。26日にアルバイト代を受け取った際、給与明細には25時間分の2万3375円が記載されていたが、15時間分の現金しか入っていなかった。手書きで「ペナルティ」「9350円」と書かれた付箋が、明細に貼られていた。
店側は「休む代わりに働く人を探さなかったペナルティー」として、休んだ10時間分の9350円を差し引いたと保護者に説明したという。
広報センターの担当者は毎日新聞の取材に「加盟店の法令に対する認識不足で申し訳ない」と話した。「労働者に対して減給の制裁を定める場合、減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が賃金総額の10分の1を超えてはならない」と定めた労基法91条(制裁規定の制限)に違反すると判断したという。
厚生労働省労働基準局の担当者は「代わりの人間を見つけるのは加盟店オーナーの仕事」と話す。母親は「高校生にとっては大金。立場の弱いアルバイトが差し引かれ、せつない」と語った。(毎日新聞平成29年1月31より引用)

 

(6)法令及び労働協約との関係(法92条)

就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
②行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。

  • 所轄労働基準監督署長は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができるが、この場合、変更命令によって当然に変更されるのではなく、使用者により変更手続きをとられて初めて変更されることになる。
  • 行政官庁(所轄労働基準監督署長)からの変更命令が発せられ就業規則を変更する場合でも、過半数労働組合又は過半数労働者の代表の意見を聴かなければならない。
  • 法92条は、就業規則の内容が労働協約の中に定められて労働条件その他労働者の待遇に関する基準(労働協約の規範的部分)に反してはならないという意味であるので、労働協約中の「社内規則の制定改廃に関しては、労働組合の同意を要するものとする」との規定に反して就業規則が作成変更されたとしても本条違反ではない。(通達)
  • 変更命令が出されたにもかかわらず使用者がこれに従わなかったときは、30万円以下の罰金に処せられる。また、変更命令に基づき変更手続をとってもこれを届け出ないときは法89条に、変更にあたり労働組合等の意見を聴かないときは法90条に違反し、本条違反と同様の30万円以下の罰金に処せられる。(法120条1号、3号)
  • 就業規則の定めは、その定めが合理的なものである限り、労働条件の決定はその就業規則による事実たる慣習が成立しているものとして法的規範を有するので、当該事業場の労働者は、就業規則の存在及び内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受ける。 (通達)

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