監督機関


監督機関の職員等(労働基準法第97条から100条)

労働基準主管局(厚生労働省の内部部局として置かれる局で労働条件及び労働者の保護に関する事務を所掌するものをいう。以下同じ。)、都道府県労働局及び労働基準監督署に労働基準監督官を置くほか、厚生労働省令で定める必要な職員を置くことができる。

②労働基準主管局の局長(以下「労働基準主管局長」という。)、都道府県労働局長及び労働基準監督署長は、労働基準監督官をもつてこれに充てる。 等


労働基準法は、労働条件の最低基準を定めたものであるが、この最低基準を確保するために、まず第1に取締法規として罰則を定めることとしており、第2に民事的には同法第13条により、同法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効とし、その無効となった部分は同法で定める基準によることとし、又一定の場合には、裁判所により賦課金の支払が命ぜられることとされている。第3に行政的には特別の監督組織を設け、厚生労働省に労働基準主管局を、各都道府県に都道府県労働局を、各都道府県館内に労働基準監督署を置くとともに、特別の権限を有する労働基準監督官に臨検、監督その他の取締りをさせている

労働基準監督官の権限(労働基準法第101条から103条)

第101条(労働基準間の権限)

労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。

②前項の場合において、労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。

第102条

労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。

第103条

労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関して定められた基準に反し、且つ労働者に急迫した危険がある場合においては、労働基準監督官は、第96条の3の規定による行政官庁の権限を即時に行うことができる。


「臨検」

労働基準監督官としての職務執行のため、労働基準法違反の有無を調査する目的で、事業場等に立ち入ることをいう。

「尋問」

ある事項について質問を発し、陳述を求めることをいう。

監督機関に対する申告(労働基準法第104条)

事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。

②使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。


  • 本条に違反して労働者に不利益な取扱いをした使用者は、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。

報告等(労働基準法第104条の2)

行政官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。


  • 同一の労働基準監督所管内に同一企業の事業場が複数ある場合は、労働基準法に基づく報告又は届出については、企業内の組織上各事業所の長より上位の使用者が取りまとめて報告又は届出を行うことは差し支えない。
  • 使用者は、次のいずれかに該当する場合には、遅滞なく、それぞれの事実を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。(則57条1項)
    ① 事業を開始した場合 →(適用事業報告を提出)
    ② 事業の附属寄宿舎において火災若しくは爆発又は倒壊の事故が発生した場合→(事故報告書を提出)
    ③ 労働者が事業の附属寄宿舎内で負傷し、窒息し、又は急性中毒に係り、死亡し又は休業した場合→(労働者死傷病報告を提出)
  • 上記③の場合であって、休業の日数が4日に満たないときは、使用者は、4半期の各期間(1月~3月まで、4月~6月まで、7月~9月まで及び10月~12月までの各期間)における当該事実を毎年各々の期間における最後の月の翌日末日までに、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない(則57条2項)。

労働基準監督官の義務(労働基準法第105条)

労働基準監督官は、職務上知り得た秘密を漏してはならない。労働基準監督官を退官した後においても同様である。

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