労働保険料の負担(徴収第30、31条)
解説)
(1) 労働保険料の負担(法30条)
①労災保険に係る保険料
労災保険に係る一般保険料、第1種特別加入保険料、第2種特別加入保険料、第3種特別加入保険料
→全額事業主が負担する。
②雇用保険に係る保険料
a 雇用保険に係る一般保険料のうち雇用三事業に係る保険料
→ 全額事業主が負担する。
b a以外の一般保険料
→事業主及び被保険者が2分の1ずつ負担する。
c 印紙保険料
→事業主及び日雇労働被保険者が2分の1ずつ負担する。(1円未満の端数が生じるときは、事業主が負担する)
・高年齢労働者に係る一般保険料の免除は、当該一般保険料のうち雇用保険率に応ずる部分の額について行われる。(被保険者部分だけでなく事業主負担分も免除される)(法30条2項)
・原則として、被保険者の負担すべき一般保険料の額は、厚生労働大臣が労働政策審議会の意見を聴いて定める一般保険料額表によって計算する。(法30条3項)なお、一般保険料額表にあてはまらない場合には賃金日額に1000分の7(1000分の8)を乗じて得た額(1円未満の端数切捨て)とされる。
・被保険者に負担義務はあるが、納付義務まであるのではない。(納付義務はすべて事業主にある)
(2) 賃金からの控除(法31条)
事業主は、雇用保険の被保険者に賃金を支払うつど、被保険者の負担すべき労働保険料を当該賃金から控除することができる。この場合において、事業主は、労働保険料控除に関する計算書を作成し、これを交付することによって、控除額を被保険者に知らせなければならない。(口頭で済ませることはできない)
・賃金から被保険者負担分の労働保険料を控除する事業主は、一般保険料控除計算簿を作成し、事業場ごとにこれを備えなければならないこととされている。(則56条2項)なお、事業主は賃金台帳をもってこれに代えることができる。
・事業主は、被保険者に賃金を支払うつど、当該賃金に係る分の保険料額についてのみを控除できるのであり、例えば賃金が月2回払いである場合に、1箇月分に相当する被保険者負担分の労働保険料額を、当該被保険者に支払ういずれか1回の賃金からまとめて控除するようなことはできない。
・請負事業の一括により事業主とされる元請負人は、その使用する労働者以外の被保険者の負担すべき額に相当する額の賃金から控除を、当該被保険者を使用する下請負人に委託することができる。この場合、委託を受けた下請負人が、当該被保険者に支払う賃金から控除し、労働保険控除に関する計算書を作成して控除額を被保険者に知らせることとなる。(法31条2項、3項)