印紙保険料


印紙保険料(徴収第22~25条)

(1) 印紙保険料の額(法22条1項)

印紙保険料の額は、雇用保険法に規定する日雇労働被保険者1人につき、1日当り次に掲げる額とされている。

等級

賃金日額

印紙保険料日額

事業主

負担分

被保険者

負担分

第1級

11,300円以上

176円

88円

88円

第2級

8,200円以上11,300円未満

146円

73円

73円

第3級

8,200円未満

96円

48円

48円

・印紙保険料は、事業主と日雇労働被保険者が折半する。(法30条4項)

・厚生労働大臣は、失業等給付に係る雇用保険率の弾力的変更(法12条5項)により雇用保険率を変更した場合には、第一級保険料日額、第二級保険料日額及び第三級保険料日額を変更するものとする。(法22条2項)

・毎月末日において、既に徴収した印紙保険料の総額に相当する額に厚生労働省令で定める率を乗じて得た額と既に支給した日雇労働被保険者に係る失業等給付の総額の3分の2に相当する額との差額が、当該月の翌月から6箇月間に支給されるべき日雇労働被保険者に係る失業等給付の額の2分の1に相当する額に満たないと認められるに至つた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために、印紙保険料の額の変更の手続をすることができず、かつ、緊急の必要があるときは、厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、第1級保険料日額、第2級保険料日額及び第3級保険料日額を変更することができる。(法22条5項)この場合には、厚生労働大臣は、次の国会において、第1級保険料日額、第2級保険料日額及び第3級保険料日額を変更する手続を執らなければならない。この場合において、変更のあつた日から1年以内に、その変更に関して、国会の議決がなかつたときは、変更された第1級保険料日額、第2級保険料日額及び第3級保険料日額は、その変更のあつた日から1年を経過した日から、変更前の第1級保険料日額、第2級保険料日額及び第3級保険料日額に変更されたものとみなされる。(法22条6項)

 

(2) 印紙保険料の納付

①印紙貼付による納付(法23条、則40条)

事業主(元請負人が事業主とされる場合にあっては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が使用する労働者以外の日雇労働費保険者に係る印紙保険料については、当該日雇労働被保険者を使用する下請負人)は日雇労働被保険者を使用した場合には、その者に賃金を支払うつど、その使用した日数に相当する枚数の雇用保険印紙を、その使用した日の日雇労働被保険者手帳における該当日欄に貼付し、消印することによって、印紙保険料を納付しなければならない。

・事業主は、消印に使用すべき認印の印影をあらかじめ所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。(認印を変更するときも同様)(則40条)

・日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙をはらず、又は消印をしなかった事業主は、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。(法46条2号)

・賃金を後払いとしたときであっても、雇用保険印紙を貼付し、消印を行う日は現実の賃金支払日である。

・日雇労働被保険者が港湾運送業務における船内荷役又はしけ荷役について、同一事業主に16時間以上長時間就労した場合には、就労1日について2枚の雇用保険印紙を貼付し、消印を行う。

②納付印押なつによる納付(法23条2項、則44条)

印紙保険料は①のとおり納付するのを原則とするが、事業主が厚生労働大臣の承認を受けて印紙保険料納付計器を設置した場合には、当該印紙保険料納付計器により、日雇労働被保険者が所持する日雇労働被保険者手帳に、納付すべき印紙保険料の額に相当する金額を表示して納付印を押すことによって、印紙保険料を納付することができる。

・事業主は、印紙保険料納付計器の設置の承認を受けようとする場合には、印紙保険料納付計器設置承認申請書を、当該印紙保険料納付計器を設置しようとする事業場の所在地を管轄する公共職業安定所長を経由して、当該事業場の所在地を管轄する都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。(則47条1項)

・印紙保険料納付計器設置の承認が厚生労働大臣によって取り消された場合、承認取り消し日の翌日から起算して2年を経過するまでのものについては再び承認されない。(則47条2項)

・印紙保険料納付計器設置の承認を受けた者は、印紙保険料納付計器を使用する前に、始動金額(当該印紙保険料納付計器により表示することができる印紙保険料の総額に相当する額)を都道府県労働局収入官吏に納付し、都道府県労働局歳入徴収官から始動票札の交付を受けなければならない。(則49条1項、51条2項)

 

・事業主は印紙保険料納付計器の全部又は一部を使用しなくなったとき等一定の場合で、すでに支払った印紙保険料の総額が当該印紙保険料納付計器により表示することができる印紙保険料の額に相当する金額の総額に満たないときは、歳入徴収官に始動票札受領通帳を提出し、その差額に相当する金額の払い戻しを申し出ることができる。(則53条)

③留意点

a 請負事業の一括の規定により元請負人が事業主とみなされる場合でも、下請負人が使用する日雇労働被保険者の印紙保険料の納付義務者はその下請負人となる。(一括されるのは労災保険であって、雇用保険ではないため)

b 事業主は、日雇労働被保険者については、印紙保険料のみを納付するのではなく、一般保険料も納付しなければならない。

c 印紙保険料の徴収に関する事務は、所轄都道府県労働局歳入徴収官が行う。(則1条3項2号)

       
d 印紙保険料は、雇用保険印紙を購入したとき又は始動金額を納付したときに納付されるのではなく、印紙を貼付・消印したとき又は納付印を押なつしたときに納付される。

(3) 雇用保険印紙

①雇用保険印紙購入手帳(則42条)

事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、あらかじめ、雇用保険印紙購入通帳交付申請書を所轄公共職業安定所長に提出して、雇用保険印紙購入通帳の交付を受けなければならない。

・雇用保険印紙購入通帳の有効期間は、その交付の日の属する保険年度に限られているので、その後も使用する場合には、有効期間の更新を行わなければならない。(則42条2項、3項)

           
・有効期間の更新は、有効期間満了の翌日の1月前から有効期間満了日までの間(3月1日から3月31日までの間)に、雇用保険印紙購入通帳を添えて、雇用保険印紙購入通帳更新申請書を所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。(則42条4項)

・事業主は、雇用保険印紙購入通帳を滅失し、若しくはき損した場合又は雇用保険印紙購入申込書がなくなった場合であって、当該保険年度中に雇用保険印紙を購入しようとするときは、その旨を所轄公共職業安定所長に申し出て、再交付を受けなければならない。(期限が指定されているわけではない)(則42条6項)

②雇用保険印紙の購入(則43条)

事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、購入申込書に、購入しようとする雇用保険印紙の種類別枚数、購入年月日、労働保険番号並びに事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地を記入し、雇用保険印紙を販売する郵便局に提出しなければならない。

・事業主は、雇用保険印紙を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。(則41条2項)

・事業主その他正当な権限を有する者を除いては、何人も消印を受けない雇用保険印紙を所持してはならない。(則41条3項)

・雇用保険印紙を販売する郵便局は、日本郵政公社が厚生労働大臣の承認を得て定めることとされている。(則41条1項)

③雇用保険印紙の買戻し(則43条2項、3項)

事業主は、次のいずれかに該当する場合には、雇用保険印紙を販売する郵便局に雇用保険印紙購入通帳を提出し、その保有する雇用保険印紙の買戻しを申し出ることができる。

a 雇用保険に係る保険関係が消滅したとき

b 日雇労働被保険者を使用しなくなったとき(保有する雇用保険印紙の等級に相当する賃金日額の日雇労働被保険者を使用しなくなったときを含む)

c 雇用保険印紙が変更されたとき

・a、bの事由に該当することにより、雇用保険印紙の買戻しを申し出ようとするときには、雇用保険印紙購入通帳に、その事由に該当することについて、あらかじめ所轄公共職業安定所長の確認を受けなければならない。(期限なし)

・cに該当する場合において、その買戻しの期間は、雇用保険印紙が変更された日から6月間とされている。(所轄公共職業安定所長の確認不要)

(4) 帳簿の調製及び報告

①帳簿の調製(法24条)

事業主は、日雇労働被保険者を使用した場合には、印紙保険料の納付に関する帳簿(雇用保険印紙受払簿)を備えて、毎月におけるその納付状況を記載しなければならない。

②報告(則54条、55条)

a 雇用保険印紙購入通帳の交付を受けている事業主

印紙保険料納付状況報告書によって、(印紙納付の有無にかかわらず)、毎月における雇用保険印紙の受払状況を翌月末日までに、所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。

b 印紙保険料納付計器を設置した事業主

印紙保険料納付計器使用状況報告書によって、毎月における印紙保険料納付計器の使用状況を(印紙の受払の有無にかかわらず)翌月末日までに、所轄公共職業安定所長を経由して、納付計器に係る都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。

・雇用保険印紙と納付計器を併用して印紙保険料を納付する場合には、印紙保険料納付状況報告書と合せて印紙保険料納付計器使用状況報告書を提出しなければならない。

・本条の規定に違反して帳簿を備えておかず、又は帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は報告をせず、若しくは虚偽の報告をした事業主は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。(法46条3号)

(5) 印紙保険料の認定決定(法25条1項、則38条5項)

事業主が印紙保険料の納付を怠ったことが認められた場合、政府はその納付すべき印紙保険料の額を調査決定し、事業主に通知することとされている。この通知は、所轄都道府県労働局歳入徴収官が、納期限(調査を決定した日から20日以内の休日でない日)を記入した納入告知書によって行わなければならない。

(6) 追徴金の徴収

①要件及びその額(法25条2項)

事業主が印紙保険料の納付を怠り、印紙保険料の認定決定がなされた場合には、認定決定された印紙保険料の額(1000円未満の端数切捨て)の100分の25に相当する額が追徴金として徴収される。

・次の場合には追徴金は徴収されない。

a 印紙保険料の納付を怠ったことについて正当な理由があると認められるとき

b 納付を怠った印紙保険料の額が1000円未満である場合

②徴収手続(法25条3項)

所轄都道府県労働局歳入徴収官は、追徴金を徴収する場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日(当日起算)をその納期限と定め、納入告知書によって、事業主に追徴金の額及び納期限を通知しなければならない。

・認定決定された印紙保険料の額及びこれに伴う追徴金については、事業主は、雇用保険印紙によらず現金で、日本銀行、郵便局又は都道府県労働局収入官吏に納付しなければならない。(認定決定された印紙保険料及び追徴金は雇用保険印紙による納付ができない)

(追徴金のまとめ)

 

確定保険料の認定決定に伴う追徴金

印紙保険料の認定決定に伴う追徴金

要件

政府により確定保険料の認定決定がなされた場合

政府により印紙保険料の認定決定がなされた場合

追徴金の額

認定決定により納付すべき額(1000円未満の端数切捨て)に100分の10を乗じて得た額

認定決定により納付すべき額(1000円未満の端数切捨て)に100分の25を乗じて得た額

徴収手続

所轄都道府県労働局歳入徴収官は、追徴金を徴収する場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日(当日起算)をその納期限と定め、納入告知書によって、事業主に追徴金の額及び納期限を通知しなければならない。

 

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