不服申し立て及び訴訟


不服申し立て及び訴訟(労災保険法第38条から41条)

保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

(1)審査請求

審査請求は、保険給付に関する決定を行った労働基準監督署の所在地を管轄する都道府県労働局に置かれた労働者災害補償保険審査官に対して行うことができる。

  • 審査請求は、正当な理由によりこの期間内に請求することができなかったことを疎明した場合を除き、保険給付に関する決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内にしなければならない。(労審法8条1項、2項)
  • 審査請求は、審査請求人の住所を管轄する労働基準監督署長又は現処分をした労働基準監督署長を経由してすることができる。(労審令3条1項)
  • 審査請求は文書で行っても、口頭で行ってもよい。また、代理人(特段の資格は不要)によってもすることができる。(労審法9条、9条の2、1項)
  • 審査請求人は、決定があるまではいつでも審査請求を取り下げることができるが、この場合は文書によって行わなければならない。(口頭不可)(労災保険法38条2項、労審法17条の2、3項)
  • 審査請求人は、審査請求をした日から3箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、労働保険審査会に再審査請求をすることができるが、この場合、当該審査請求は取り下げられたものとみなされる。(労災保険法38条2項、労審法17条の23項)

(2)再審査請求)

再審査請求は、厚生労働大臣の所轄の下に設置されている労働保険審査会に対して行うことができる。

労働保険審査会

9人の委員により組織され、両議院の同意を得て厚生労働大臣が指名する。

  • 再審査請求は、正当な理由によりこの期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明した場合を除き、審査請求に対する決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して60日以内にしなければならない。
  • 再審査請求は文書で行わなければならない。(口頭不可)(労審法39条)
  • 再審査請求も代理人によってすることができる。(労審法50条)
  • 再審査請求人は裁決があるまではいつでも再審査請求を取り下げることができる。(口頭不可)(労審法49条1項、2項)
  • 審査請求及び再審査請求は裁判上の請求をみなされ、時効の中断の効果がある。(法38条3項)

(3)訴訟との関係(法40条)

保険給付に関する決定についての処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経た後でなければ提起することができないが、次のいずれかに該当する場合には当該裁決を経る前に裁判所に提訴できる。

  1. 再審査請求がされた日から3箇月を経過しても裁決がないとき
  2. 再審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるときその他その裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき

保険給付に関する決定とは?

直接受給権者の権利に法律的効果を及ぼす処分(保険給付の支給又は不支給、額の改定又は不改定、支給停止又は不停止、変更又は不変更の決定等)をいい、業務上外の認定、給付基礎日額の決定、傷病の治ゆの認定等、決定の前提となる要件事実の認定はこれに該当しない。

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