国民年金保険料の免除・一部納付・猶予・学生納付特例について
所得が少ないなどの理由で国民年金の保険料を納めることが経済的に困難な場合には、本人の申請手続きによって承認を受けると、保険料の納付が免除または猶予される制度があります。(障害年金を受けている方や生活保護法による生活扶助を受けている方は「法定免除」となります。)
年金といえば65歳に達してから受給できる「老齢基礎年金」を思い浮かべる方が多いのではないかと思いますが、年金には老齢基礎年金の他、「障害基礎年金」や「遺族基礎年金」という年金もあります。
免除や猶予の申請をしないで、将来の老後の年金は当てにしていないから保険料は納めないと考えていると老齢基礎年金(満額で年間約79万円)が受給できなくなるのはもちろんのこと、怪我をして大きな障害が残った場合に支給されるはずであった障害基礎年金(1級で年間約100万円)を受給できなかったり、妻や子を残して死亡してしまった場合に遺族に支払われる遺族基礎年金(子のある妻で約100万円)が受給できないこととなる場合があります。
また、国民年金の保険料を未納にしておくと、厚生年金に加入した場合に受給できるはずの障害厚生年金や遺族厚生年金も受給できなくなる場合もあります。
(ポイント)年金は老齢年金だけではく、障害年金、遺族年金もある。国民年金の保険料を未納にしておくといざというときの障害年金、遺族年金を受給できなくなることがある。失業している、収入が少ないなどの理由によって毎月の国民年金保険料が納付できない場合は必ず免除等の申請をすることをおすすめします!もちろんそれなりの収入がある場合は国民年金保険料をしっかりと納付しいと万が一の時に困るのは納めなかったことを後悔することになります。
全額免除制度について
申請により毎月の国民年金保険料の全額(約15,000円)が免除となる制度です。
平成21年4月分からの保険料の全額が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の老齢基礎年金額の2分の1(平成21年3月分までは3分の1)が支給されます。免除申請された期間は未納期間とならず、障害年金、遺族年金を受給する際は有利になります。
一部納付(一部免除)制度
申請により保険料の一部を納付し、残りの保険料を免除とする制度です。全額免除制度よりも老齢基礎年金の額で考えると一部納付をしているため有利になります。
4分の1納付
平成21年4月分からの保険料の4分の1納付とされた期間については、保険料を全額納付した場合の老齢基礎年金額の8分の5(平成21年3月分までは2分の1)が支給されます。
2分の1納付
平成21年4月分からの保険料の2分の1納付とされた期間については、保険料を全額納付した場合の老齢基礎年金額の8分の6(平成21年3月分までは3分の2)が支給されます。
4分の3納付
平成21年4月分からの保険料の4分の3納付とされた期間については、保険料を全額納付した場合の老齢基礎年金額の8分の7(平成21年3月分までは5分の6)が支給されます。
保険料免除・一部納付の所得判断基準
世帯構成 | 全額免除 | 一 部 納 付 | ||
1/4納付 | 1/2納付 | 3/4納付 | ||
4人世帯 (ご夫婦、お子さん2人) |
162 万円 |
230 万円 |
282 万円 |
335 万円 |
2人世帯 (ご夫婦のみ) |
92 万円 |
142 万円 |
195 万円 |
247 万円 |
単身世帯 | 57 万円 |
93 万円 |
141 万円 |
189 万円 |
※全額免除・一部納付制度は申請者ご本人のほか、配偶者・世帯主の方も所得基準の範囲内である必要があります。
※申請の時期によって、前々年の所得で審査を行う場合があります。
※一部納付の承認を受けた期間は、一部納付保険料を納めなければ、期間としてカウントされません。
老齢基礎年金の年金額具体例
老齢基礎年金は20歳から60歳になるまで(40年=480月)のすべての保険料を納めると満額を受給できます。
480月すべて納付した場合 年間約79万円
極端な話ですが、
480月すべて全額免除だった場合 79万円×(480分の240)=年間約39万5,000円
480月すべて半額納付だった場合 79万円×(480分の360)=年間約59万2,500円
となります。
若年者納付猶予制度
保険料免除制度の所得審査は、申請者本人のほか配偶者・世帯主の所得も審査の対象となるため、一定以上の所得がある親(世帯主)と同居している若者は、保険料免除制度を利用することができません。
他の年齢層に比べて所得が少ない若年層(20歳台)の方が、保険料免除制度を利用することができず、将来、年金を受け取ることができなくなることを防止するため、申請により保険料の納付が猶予され、保険料の後払いができる制度です。
若年者納付猶予は、申請者本人と配偶者の前年所得が審査の対象となります。所得判断基準は (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 までとなります。
学生納付特例
学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される制度です。
本人の所得が一定以下の学生が対象となります。家族の方の所得は問われません。
普通のアルバイトをしている限りでは対象外となることはありませんし、大学、短大はもちろんのこと、各種専門学校などほとんどの学生が対象となります。
(ポイント)若年者納付猶予期間・学生納付特例期間は、将来受け取る年金の受給資格期間に算入されますが、老齢基礎年金額には反映されません。ただし、障害基礎年金や遺族厚生年金の保険料納付要件は満たせることとなります。
保険料の追納について
老齢基礎年金の年金額を計算するときに、保険料の免除や猶予の承認を受けた期間がある場合は、保険料を全額納付した場合と比べて年金額が低額となります。
このため、免除等の承認を受けた期間の保険料については、承認を受け、後から納付(=追納)することによって、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。
ただし、追納ができるのは追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られていることや3年以上前の免除等期間の保険料を追納する場合は当時の保険料額に加算金がつくことにご注意ください。
(ポイント)追納するかどうかは任意です。
申請について
住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ申請することになります。
申請書は、年金事務所または市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口に備え付けてあります。
不明な点は居住地を管轄する市区町村役場でご確認ください。