1 介護休業等(介護休暇、介護短時間勤務等を含む)の対象家族の範囲拡大
改正前
配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫
改正後
配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫
※祖父母、兄弟姉妹および孫について同居かつ扶養の要件がなくなりました。
2 育児休業等の対象となる子の範囲の拡大
改正前
育児休業等(子の看護休暇、所定外労働の制限等を含む)が取得できる対象は、法律上の親子関係がある実子・養子
改正後
特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等も新たに対象
3 介護休業の分割取得
改正前
対象家族1人につき、通算 93 日まで原則1回に限り取得可能(取得可能=認めなければならない。以下同じ)
改正後
対象家族1人につき、通算 93日まで、3回を上限として、介護休業を分割して取得可能
4 有期労働契約者の介護休業取得要件の緩和
改正前
申出時点で以下の要件を満たす場合に育休の取得が可能
① 過去1年以上継続して雇用されていること
② 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること
③ 93日経過日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く
改正後
申出時点で、以下の要件を満たすことに緩和
① 過去1年以上継続し雇用されていること
② 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までにその雇用契約(雇用契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでないこと
5 介護のための所定労働時間の短縮措置等
改正前
介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)について、介護休業と通算して 93 日の範囲内で取得可能
改正後
介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能
※介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)とは
事業主は、要介護状態にある対象家族の介護をする労働者に関して、対象家族1人につき、以下のうちいずれかの措置を選択して講じなければならないとされています。
①所定労働時間の短縮措置 ②フレックスタイム制度 ③始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ④労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度
6 介護のための所定外労働の制限(残業の免除)の新設
改正前
なし
改正後
介護のための所定外労働の制限(残業の免除)について、対象家族1人につき、介護終了まで利用できる所定外労働の制限を新設
※法定外労働の免除ではなく、「所定外労働の免除」である点に留意
7 有期契約労働者の育児休業の取得要件の緩和
改正前
申出時点で以下の要件を満たす場合に育休の取得が可能
① 過去1年以上継続して雇用されていること
② 子が1歳になった後も雇用継続の見込みがあること
③ 子が2歳になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかである者を除く
改正後
申出時点で、以下の要件を満たすことに緩和
① 過去1年以上継続し雇用されていること
② 子が1歳 6 か月になるまでの間に雇用契約(雇用契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)がなくなることが明らかでないこと
8 介護休暇および子の看護休暇の取得単位の柔軟化
改正前
1日単位での取得
改正後
半日単位での取得が可能
※半日について
所定労働時間の2分の1とされていますが、所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は、1時間に満たない端数を切り上げます。
例)所定労働時間が7時間30分の場合、1時間に満たない端数を切り上げ、8時間とし、半日は4時間となります。
ただし、労使協定の締結をすることによって、半日の定義を変更することは可能です。
例)午前の3時間、午後の5時間を半日とする。
9 いわゆるマタハラ・パタハラなどの防止措置義務の新設
改正前
事業主による妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱いは禁止
改正後
上司・同僚からの、妊娠・出産、育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラ・パタハラなど)を防止する措置を講じることを事業主へ新たに義務付け。
派遣労働者の派遣先にも以下を適用。
・育児休業等の取得等を理由とする不利益取扱いの禁止
・妊娠・出産、育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせ等の防止措置の義務付け
※労働者への周知・啓発、相談体制の整備等の内容を想定
※不利益取扱いとは
解雇、雇止め、契約更新回数の引き下げ、退職や正社員を非正規社員とするような契約内容変更の強要、降格、減給、賞与等のおける不利益な算定、不利益な配置変更・自宅待機命令、人事考課で不利益な評価を行う、仕事をさせない、もっぱら雑務をさせるなど就業環境を害する行為