傷病手当金の支給対象となり得ます。 傷病手当金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
①業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
新型コロナウィルスに感染したことによって療養する場合はこの要件は満たされます。
②仕事に就くことができないこと
医師が労務不能と認める(傷病手当金支給申請書に証明していただく)ことが大前提となります。
仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。
③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。
待期3日間の考え方は会社を休んだ日が連続して3日間なければ成立しません。
連続して2日間会社を休んだ後、3日目に仕事を行った場合には、「待期3日間」は成立しません。
④休業した期間について給与の支払いがないこと
休業した日について年次有給休暇を取得する場合は④の要件が満たせません。
※なお、傷病手当金は初診日以降の休業日についてのみ対象となります。
例えば、2月20日から体調不良で欠勤していて、2月28日に病院へ初めて行き、新型コロナウィルスと診断された場合は、2月20日から2月27日までの期間は傷病手当金の支給対象となりません。ただし、③の待機期間には含まれます。
新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A
Q1 被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染しており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
A 被保険者が業務災害以外の理由により新型コロナウイルス感染症に感染している場合には、他の疾病に罹患している場合と同様に、療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、直近 12 か月の標準報酬月額を平均した額の 30 分の1に相当する額の3分の2に相当する金額(※)を、傷病手当金として支給することとなる。
(※)被保険者期間が 12 ヶ月に満たない者については、①当該被保険者の被保険者期間における標準報酬月額の平均額、又は②当該被保険者の属する保険者の標準報酬月額の平均額、のいずれか低い額が算定の基礎となる。
Q2 被保険者には自覚症状はないものの、検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
A 傷病手当金の支給対象となりうる。
Q3 被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
A 傷病手当金の支給対象となりうる。
Q4 被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた期間については、労務に服することができなかった期間に該当するのか。
A 従前より、医師が診察の結果、被保険者の既往の状態を推測して初診日前に労務不能の状態であったと認め、意見書に記載した場合には、初診日前の期間についても労務不能期間となり得ることとしている。今般の新型コロナウイルス感染症の相談・受診の目安として、
・風邪の症状や 37.5℃以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む。)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合
のいずれかに該当する方について、「帰国者・接触者相談センター」に相談し、相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いのある場合に、「帰国者・接触者相談センター」から紹介された専門の「帰国者・接触者外来」を受診するよう示していることを踏まえると、上記のような発熱などの症状があるため被保険者が自宅療養を行っていた期間は、療養のため労務に服することができなかった期間に該当することとなる。なお、やむを得ない理由により医療機関への受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等により、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとする。
Q5 発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた方が、休職して4日目以降に帰国者・接触者相談センターに相談したものの、体調悪化等によりその日には医療機関を受診できず、結果として、その翌日以降、医療機関を受診せずに病状の改善が見られた場合には、傷病手当金は支給されるのか。支給される場合、医師の意見書を添付することができないが、何をもって労務不能な期間を判断するのか。
A 傷病手当金の支給対象となりうる。
本問のように、医療機関への受診を行うことができず、医師の意見書を添付できない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等により、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとする。
Q6 発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた方が、休職して4日目に医療機関に受診し、新型コロナウイルス感染症ではなく別の疾病に罹患しているために労務不能と判断された場合には、傷病手当金は支給されるのか。
A 傷病手当金の支給対象となりうる。
Q7 事業所内で新型コロナウイルス感染症に感染した者が発生したこと等により、事業所全体が休業し、労務を行っていない期間については、傷病手当金は支給されるのか。
A 傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されない。なお、法律等に基づかない使用者の独自の判断により、一律に労働者に休んでいただく措置をとる場合のように、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければならないとされている。
Q8 本人には自覚症状がないものの、家族が感染し濃厚接触者になった等の事由において、本人が休暇を取得した場合には傷病手当金は支給されるのか。
A 傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されない。