技能者の養成


徒弟の弊害排除(労働基準法第69条)

使用者は、徒弟見習養成工その他名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者であることを理由として、労働者を酷使してはならない。

②使用者は、技能の習得を目的とする労働者を家事その他技能の習得に関係のない作業に従事させてはならない。


本条は1項、2項ともに罰則の定めはなく、いわゆる訓示規定である。なお、未成年について酷使又は雑役使用の事実があるときは、行政官庁等が労働契約を解除することができる。

職業訓練に関する特例(労働基準法第70条から73条)

(1)訓練生の特例

認定職業訓練の訓練生については次の特例が認められている。

①職業能力開発促進法施行規則に定める訓練期間の範囲内であれば、契約期間が3年を超える労働契約を定めることができる。(年齢制限なし)

②技能を習得させるために必要がある場合においては、年少者(18歳未満)である訓練生を法62条の危険有害業務に就かせることができる。

③年少者である訓練生に技能を習得させるために必要がある場合においては、満16歳以上の男性である訓練生を坑内労働に就かせることができる。

(2)適用範囲

前記①から③の特例が適用されるのは、職業能力開発促進法24条1項の認定(都道府県知事の認定)を受けて行う職業訓練を受ける労働者であって、当該労働者を使用することについて行政官庁(都道府県労働局長)の許可を受けた使用者に使用される者に限定される。

  • 労働基準法70条の特例を受けて、例えば年少者に危険有害業務に係る職業訓練を行うためには、職業能力開発促進法24条1項の都道府県知事の認定を受けるだけでなく、労働基準法71条の都道府県労働局長の許可を受けなければならない。
  • 所轄都道府県労働局長は当該許可をしたとき、若しくは許可をしないとき又は許可を取り消したときは、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。(則34条の5)

(3)未成年訓練生の年次有給休暇

満20歳未満の未成年者であって、前記①~③の特例の適用を受ける労働者に対して付与されるべき有給休暇の日数は、雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に12労働日となる。(ただし、この特例の対象となる未成年者についても、最高付与日数は一般労働者と同じ20労働日とされる)

  • ①~③の特例の適用を受けない者(例えば中高年で職業訓練を受ける者や未成年者でも労働契約期間が1年未満の者)については、法39条の規定の基準によって付与することになる。
  • 労働者が前記の厚生労働省令適用未成年者であったときに発生し、その年度内に行使されなかった法72条に基づく年次有給休暇請求権は、2年の消滅時効にかかるまでは、たとえ労働者が厚生労働省令適用未成年者でなくなった場合においても、消滅することなく存続する。(通達)
  • 未成年訓練生の年休付与日数は次のようになる。
勤続年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5以上
付与日数 12日 13日 14日 16日 18日 20日

(4)適用の取消

行政官庁(都道府県労働局長)の許可を受けて労働者(訓練生)を使用する使用者が前記①~③の特例の規定に違反した場合には、行政官庁(都道府県労働局長)はその許可を取り消すことができる。

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