1週間単位の非定型的変形労働時間制(労働基準法第32条の5)
使用者は、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる厚生労働省令で定める事業(小売業、旅館、料理店及び飲食店)であつて、常時使用する労働者の数が厚生労働省令で定める数(30人)未満のものに従事する労働者については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、労働基準法第32条第2項の規定にかかわらず、1日について10時間まで労働させることができる。 等
日々の業務において繁閑の差が大きく、その業務の繁閑が定まっていない事業について、原則的な変形労働時間制による規定では業務の繁閑に機敏に対応することが必ずしもできない。しかし、このような事業であっても、業務が忙しい日にはある程度労働時間を延長し、比較的忙しくない日には労働時間を短縮できることが望ましいことから、本条を規定することによって業務に応じて機敏な労働時間の変動を図るようにした。
(1)対象となる事業
次のすべてに該当する事業である。
①日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多い事業
②繁閑を予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる事業
③小売業、旅館、料理店、飲食店の事業(労働基準法施工規則第12条の5、1項)
④常時使用する労働者が30人未満の事業(労働基準法施工規則第則12条の5、2項)
(2)要件
①労使協定を締結し、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出ること
②労働させる1週間の各日の労働時間を、少なくとも当該1週間の開始前に労働者に書面で通知すること。
③労使協定を定め、1日の所定労働時間の上限を10時間とすること。
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- 緊急でやむを得ない事由がある場合には、使用者は、あらかじめ通知した労働時間を、変更しようとする日の前日までに書面により当該労働者に通知することにより、当該予め通知した労働時間を変更することができる。
(3)効果
1日について10時間まで労働させることができる。
- 1週間の法定労働時間を44時間とする特例措置の対象となっている事業であっても、1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用する場合には、当該特例措置が適用されないため、1週間の所定労働時間を40時間以下とする必要がある。(通達)