記録の保存(労働基準法第109条)
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない。
その他労働関係に関する重要な書類とは?
出勤簿、タイムカード、労使協定、残業命令書およびその報告書等がこれに該当する。
- 保存期間である5年の起算日は次のとおりである。(則56条)
項 目 起算日 労働者名簿 労働者の死亡、退職又は解雇の日 賃金台帳 最後に記入した日 雇入又は退職(解雇を含む)に関する書類 労働者の退職(解雇)又は死亡の日 災害補償に関する書類 災害補償を終わった日 賃金その他労働関係に関する重要な書類 その完結の日 - 本条に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられる。(法120条1号)
- その他労働関係に関する重要な書類とは、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、タイムカード等の記録、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書、法36条の規定による労使協定書等がある。(通達)
- 労働者名簿及び賃金台帳は、一定の要件を満たすことにより磁気ディスク等による調製が認められているが、一定の要件を満たす場合には、当該磁気ディスクにより保存義務も果たすことができる。(通達)
- 税法上定められている賃金台帳の保存期間は7年となる。
- 派遣労働者の場合、派遣元及び派遣先双方の使用者について本条の適用される(派遣元、派遣先とも当該保存義務を負う)が、実際には労働者名簿、賃金台帳、および雇入れ、解雇に関する書類等については作成義務者である派遣元が保存することとなるので、派遣先は、労働時間に関する記録(出勤簿、タイムカード、時間外労働の記録等)についてのみ保存すればよいことになる。(労働者派遣法44条5項)
- 災害補償に関する書類の保存期間の起算日は、「災害を被った日」ではなく、「災害補償を終わった日」である。
- 2020年4月からの法改正で、賃金台帳などの記録の保存期間を5年に延長しつつ、当分の間はその期間が3年とされた。また、賃金台帳、賃金に関する書類(昇給減給関係書類等)、 出勤簿、タイムカード等については、記録に関する賃金の支払期日が記録の完結の日などより遅い場合には、当該支払期日が記録の保存期間の起算日とすることが明記された。例えば、事業主が就業規則等において、賃金計算期間を当月1日~末日、賃金支払期日を翌月 10 日と定めているケースにおいては、タイムカード等、賃金計算に係る記録の保存期間は、翌月 10 日から起算して3年の保存が必要となる。