災害時等の休日・時間外労働


災害等による臨時の必要がある場合の時間外、休日労働(労働基準法第33条)

災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第32条から前条まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。 等

(1)災害その他避けることのできない事由の場合の時間外休日労働

①要件(法33条1項)

災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合は、原則として行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けること。

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  • 事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく、届出なければならない。なお、行政官庁の許可や事後の届出の義務を負うのは派遣先事業所である。

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  • 災害等の場合は、年少者に関する労働時間、休日労働時間及び深夜業の規制は適用されないので、たとえその労働者が18歳未満の年少者であっても、時間外労働、休日労働さらには深夜業も命じることができる(法60条1項、法61条4項)。
  • 災害等の場合であっても、労働者が妊産婦であり、請求があったとき(法第41条該当者である妊産婦が時間外・休日労働をしない旨請求した場合を除く)は、時間外労働、休日労働又は、深夜業を命じることはできない(法66条2項、3項)。
  • 災害その他避けることのできない事由は具体的には次のようになっている。
    災害等に該当するもの
    ① 急病,ボイラーの破裂その他人命又は公益を保護するために必要な場合
    ② 事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機会の故障の修理
    ③ 電圧低下により保安等の必要がある場合

    災害等に該当しないもの
    ① 単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上必要な場合
    ② 通常予見される部分的な修理や定期的な手入れ

②代休付与命令(法33条2項)

事後に届出があった場合において、行政官庁(所轄労働基準監督署長)がその労働時間の延長又は休日労働を不適当と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを命ずることができる。

③効果

その必要の限度において、(36協定がなくとも)法定労働時間及び変形労働時間制による労働時間を延長し、又は法定休日に労働させることができる。

  • 代休付与命令による休日は、使用者の責に帰すべき休業ではないので、休業手当の支払義務生じない(通達)

(2)公務のために臨時の必要がある場合(法33条3項)

公務のために臨時の必要がある場合において、官公署の事業(現業を除く)に従事する国家公務員及び地方公務員については、(36協定がなくとも)法定労働時間及び変形労働時間制による労働時間を延長し、又は法定休日に労働させることができる。

  • 公務のために臨時の必要がある場合には、災害等により臨時の必要がある場合と同じく年少者に時間外労働や休日労働をさせることができるが、深夜業をさせることができない。(法60条、61条4項)
  • 公務のために臨時の必要がある場合には、行政官庁の許可又は事後の届出は不要である。
  • 公務とは、国、地方公共団体の事務のすべてをいい、臨時の必要があるか否かは国、地方公共団体が判断する。(通達)
  • 公務のために臨時の必要がある場合であっても、妊産婦が請求した場合(法第41条該当者である妊産婦が時間外労働又は休日労働をしない旨請求した場合を除く)には、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせることが出来ない(法66条2項、3項)。

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