労働基準法の適用事業とは?
原則として、労働者を一人でも使用する事業又は事業所は労働基準法の適用を受ける。
ただし、以下の適用除外の規定がある。(労働基準法第116条)
a 同居の親族のみを使用する事業
b 家事使用人
c 船員については、総則規定等以外の労働基準法の適用が排除される。 (船員法が適用される)
その他に特別法による適用除外規定がある。
a 国家公務員(国家公務員法附則第16条)
一般職の職員には適用が全面的に除外される。ただし、国有林事業、独立行政法人国立印刷局や独立行政法人造幣局などの特定独立行政法人の職員については適用される。
b 地方公務員(地方公務員法第58条3項)
一般職の職員については一部適用が除外されている。
なお、労働基準法の適用事業に該当する場合は、適用事業報告を所轄(事業所の所在地を管轄する)の労働基準監督署に提出する義務がある。(東京都内の所轄労働基準監督署はこちら)
適用事業報告.PDFの無料ダウンロード (ダウンロードしてご利用ください)
- 事業とは、必ずしも経営上いったいをなす支店、工場等を総合した全事業を指すのではなく、工場、鉱山、事業所、店舗等のごとく一定の場所において相関する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいうものである。(通達)
- 一の事業であるかどうかは、主として同一の場所で行われているかどうかによって決める。
- 同一の場所にあっても労働の様態が著しく異なっている部門がある場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して労働基準法の適用を受けることが適性と認められるときは、その部門は一の独立の事業と考えられる。(例)新聞社の本社の印刷部門、工場内診療所、工場内食堂 (通達)
- 場所的に分散している事業でも、規模が非常に小さく、事業の組織関連や事務能力の点から一つの事業とはいえないほど独立性のないものについては、そのすぐ上級の機構として一括して一つの事業として取り扱われる。(例)新聞社の支局の通信部 (通達)
- 同一企業が複数の事業場を有する場合であって、同一の労働基準監督署管轄内に2以上の事業場があるときは、各事業場にかかわる労働基準法に基づく報告又は届出については、当該企業内の組織上、各事業場の長より上位の使用者が取りまとめて当該労働基準監督署に報告又は届出を行うことは差し支えない(通達)
- 日本で行われる事業であれば、事業主又は労働者が外国人であると否とを問わず、法令又は条約に特別の定めがある場合を除き、労働基準法の適用がある。(通達)
- 海外支店や現地法人など外国にある事業場には労働基準法は適用されない。海外出張の場合は、当該労働者の国内の事業に所属するものといえることから、労働基準法が適用されることになる。
- 建設業が海外で工事をする場合であって、海外に管理・指揮命令を行う独立した事業所がないところへ労働者を赴任させる場合は、その事業に対して労働基準法が適用される。
- 選挙事務所は適用事業に該当し、労働基準法が適用される。
- 同居の親族であっても、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業であって以下の要件を満たす者は労働者として取り扱うため当該者を使用する事業は適用事業となる。(通達)
イ 事業主の指揮命令に従っていることが明確である。
ロ 管理及び就労の実態が他の労働者と同様である。
ハ 賃金も他の労働者と同様に支払われている。 - 法人に雇われ、その役職員の家庭でその家族の指揮命令の下で家事一般に従事している者は家事使用人であり、労働基準法は全面的に適用除外となる。(通達)
- 個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その指揮命令の下に当該家事を行う者は家事使用人に該当せず、労働基準法は全面的に適用となる。(通達)