労働契約期間


労働契約期間(労働基準法第14条)

労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。 等以下省略

(1)期間の定めのないもの

いわゆる正社員の労働契約は、期間が定められていないことが通常である。定年制の場合は定年に達するまでの間、期間の定めのない労働契約が締結されていることとなり、労働者はいつでもこれを解約できる。

(2)期間の定めのあるもの

 原則として、労働契約は3年を超える期間について締結してはならない。

(例外)
① 一定事業の完了に必要な期間を定めるもの(ダムの建<設工事、土木工事等の有期事業)
② 次のいずれか該当する労働契約の上限は5年となる。
a 高度の専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約
b 60歳以上の労働者との間で締結される労働契約(aの場合を除く)

※ 高度の専門的知識等を有する労働者とは?

  1. 博士の学位を有する者
  2. 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士又は弁理士のいずれかの資格を有する者
  3. システムアナリスト試験又はアクチュアリー試験に合格している者
  4. 特許法に規定する特許発明の発明者、意匠法に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法に規定する登録品種を育成した者
  5. 大学卒で実務経験5年以上、短大・高専卒で実務経験6年以上又は高卒で実務経験7年以上の農林水産業の技術者、鉱工業の技術者、機械・電気技術者、システムエンジニア又はデザイナーで、年収が1075万円以上の者
  6. システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで、年収が1075万円以上の者
  7. 国等によりその有する知識等が優れたものであると認定され、上記1.から6.までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者

※ 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

労働基準法第14条2項の規定に基づき、次のような基準が設けられている。

① 使用者は、有期労働契約の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。

② ①の場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者が当該契約を更新する場合又は更新しない場合の判断の基準を明示しなければならない。

③ 使用者は、有期労働契約の締結後に①、②の事項に関して変更する場合には、当該契約を締結した労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。

④ 使用者は、有期労働契約(雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)を更新しないことと使用とする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。

⑤ ④の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。

⑥ 有期労働契約(雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。

⑦ 使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。

  • 労働基準法14条の規定に違反した契約期間を定めた場合であっても、当該規定の立法趣旨に鑑み、当該規定の罰則は、使用者に対してのみ適用がある。(通達)
  • 契約期間の上限を5年とする労働契約を締結することができるのは、当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く場合に限られていることから、ただ単に高度の専門的知識等を有する者を事務労働として労働契約を締結したとしても契約期間の上限は3年となる。
  • 労働契約の期間の上限が5年となるものについて契約を更新する場合にも5年の期間を定めることができる。
  • 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る)を締結した労働者(契約期間を5年とすることができる労働契約を締結した労働者を除く)は、当分の間、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、民法第628条の規定にかかわらず、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。(労働基準法附則)
  • 例えば満60歳以上の労働者が5年の労働契約をした場合は、上記規定は適用されないことになる。
  • 職業訓練を受ける労働者は、職業訓練を修了するまでの期間内で労働契約を締結することができる。(都道府県労働局長の許可が必要)(労働基準法第70条)

 

労働基準法について一覧

PAGETOP