年少者


年少者(労働基準法第56条から64条)

使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。 等

1 最低年齢(労働基準法法56条)

(原則)

満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでにある児童は、労働者として使用できない。

(例外)

① 満13歳以上の児童 ② 満13歳未満の児童
a 非工業的業種であること a 映画の製作又は演劇の事業であること
b 児童の健康及び福祉に有害でなく、労働が軽易なものであること
c 行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けること
d 使用時間が修学時間外であること

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  • 非工業的業種であっても、以下のような業務については児童の使用は認められていない。(年少則9条)
    イ 公衆の娯楽を目的として曲馬又は軽業を行う業務
    ロ 戸々について、又は道路その他これに準ずる場所において、歌謡、遊芸その他演技を行う業務
    ハ 旅館、料理店、飲食店又は娯楽場における業務
    二 エレベーターの運転の業務
  • ゴルフ場のキャディーの業務は、特に「児童の健康及び福祉に有害でなく、「娯楽場のおける業務」に該当せず、かつ、「労働が軽易である」と考えられるので、法56条の使用許可を行って差し支えない。(通達)
  • 法第56条に定める最低年齢違反の労働契約のもとに就労していた児童を解雇するに当たっても、法第20条の解雇予告に関する規定は適用される(原則として、解雇予告手当を支払い即時解雇しなければならない)(通達)
  • 使用者は法56条2項の許可を受けようとする場合においては、使用しようとする児童の年齢を証明する戸籍証明書、その者の就学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を使用許可申請書に添えて、これを所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(年少則1条)
  • 所轄労働基準監督署長は、使用許可の申請について許否の決定をした使用者にその旨を通知するとともに、添付書類を返還し、許可しないときは、当該申請にかかわる児童にその旨を通知しなければならない。(年少則2条1項)
  • 所轄労働基準監督署長は、拒否の決定をしようとする場合においては、当該申請にかかる児童の居住地を管轄する労働基準監督署長の意見を聴かなければならない(年少則2条2項)
  • サーカス団上演軽業については、綱の高さ2メートル未満であれば、児童の綱渡りが許可される。また、高さ2メートル未満であれば、他人を自分の肩に乗せない限り他人の肩の上に立つピラミッド曲芸が許可される(通達)
  • 従来、15歳に達すれば労働者として使用することができることとなっていたが、平成10年の法改正により、15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、すなわち義務教育期間が終了するまでは使用できないこととされた。また、新聞配達等非工業的業種における軽易な業務についての使用許可年齢が、従来の12歳から13歳に引き上げられた(平成12年4月1日施行)
  • その全部の区域が特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律に規定する「特定農山村地域である市町村の区域」又は過疎地域活性化特別措置法に規定する「過疎地域である市町村区域」等における「新聞小売業における新聞の配達の職業」については、平成17年3月31日までに労働基準監督署長の許可を受けたときは、例外的に満13歳の児童を使用することができる。(令)

2 年少者の証明書(労働基準法第57条)

 使用者は、満18才に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。
②使用者は、前条第2項の規定によって使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。

  • 義務教育の課程にありながら、修学していないために、使用許可申請書にその校長が修学に差し支えない旨の証明ができない場合は、行政官庁は使用者にその児童の使用を許可しない。(通達)
  • 18歳未満の者の年齢を確認する義務は使用者にある。(通達)
  • 年少者の年齢証明書については、戸籍謄(抄)本又は年少者の姓名及び生年月日を記載して本籍地を管轄する地方自治体の長が証明したもののほか、使用者が住民基本台帳法による住民票の写しを備えている場合には法57条違反としては取り扱わなくても差し支えない。また、これらに代えて、住民基本台帳法7条1号及び2号の事項についての証明がなされている住民記載事項の証明書を備えば足りる。(通達)
  • 使用者が労働者の年齢を確認するにあたっては一般に必要とされる程度の注意義務を尽くせば足り、その年齢を必ずしも公文書によって確認する義務はないと解されるので、その容貌、体格、能力、知能その他より判断して何人が観察しても年少者ではないかという疑念をはさむ余地のまったくない者については、その労働者の高等又は自筆或いは代筆により作成提出した身分書類による深刻を基準として判断して使用していても、使用者は労働者の年齢を確認すべき義務を故意に怠ったものとはいえない(通達)

3  未成年者の労働契約(労働基準法第58条)

 親権者又は後見人は、未成年者に代つて労働契約を締結してはならない。
②親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができる。

  • 民法によれば、親権者及び後見人は法定代理人となって一般に未成年者の同意を得れば、未成年者の行為を目的とする債務を生ずべき法律行為について未成年に代わって行うことができるとされているが、本条は労働契約の締結に関し、たとえ未成年者の同意を得ても未成年者に代わって行うことができないことを罰則をもって定めている。なお、未成年者が労働契約を締結するには民法5条により、親権者等法定代理人の同意を得た方がよい。

4  賃金の請求及び受取り(労働基準法第59条)

未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取つてはならない。

 

5  労働時間及び休日(労働基準法第60条)

①年少者に適用できない規定

次の規定は年少者には適用されない。

 1 1箇月単位の変形労働時間制
 2 フレックスタイム制
 3 1年単位の変形労働時間制
 4 1週間単位の非定型的変形労働時間制
 5 36協定による時間外・休日労働
 6 労働時間の特例措置及び休憩の特例措置

  • 原則として、年少者に時間外及び休日労働をさせることはできない。ただし、次の場合には年少者にも時間外及び休日労働をさせることができる。
    a 災害等又は公務のために臨時の必要がある場合
    b 年少者が法41条該当者である場合(具体的には農業、水産業、畜産業の事業に使用される年少者などである場合)
  • 上記aの場合は割増賃金の支払義務が生じるが、上記bの場合には生じない。
  • 法定休日が守られ、法定労働時間内に収まっていれば、所定労働時間外や所定休日に労働させてもよい。
  • 36協定を締結している場合であっても、年少者には、原則として時間外・休日労働をさせることは出来ない。
  • 年少者には労働時間及び休憩の特例が適用されないので具体的には下記のようになる。

    a 常時使用労働者数10人未満の商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業及び接客娯楽業の事業に使用される年少者は週40時間を超えて労働させることができない。

    b 休憩を与えないでよいとされている長距離乗務員や郵便局員等であっても、当該労働者が年少者である場合には法定通りの休憩をあたえなければならない。

    c 休憩を一斉に与える必要のない業種であっても、年少者については、労使協定を締結しない限り、休憩は一斉に与えなければならない。

  • 年少者を変形休日制の下で使用しても差し支えない。
  • 週40時間の範囲内であれば、年少者の休日の振替も認められる(1日8時間1週40時間制をとる事業にあっては同一週内の振替に限られる)(通達)

②児童に関する制限(労働基準法第60条第2項)

第56条第2項の規定[最低年齢の例外]によって使用する児童についての法32条[労働時間の原則]に規定の適用については、以下の通りとする。

①休憩時間を除き、修学時間を通算して1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

②1週間の各日については、休憩時間を除き、修学時間を通算して1日について7時間を超えて、労働させてはならない

  • 「修学時間」とは、当該日の事業開始時刻から同日の最終事業終了時刻までの時間から休憩時間(昼食時間を含む)を除いた時間をいう。
  • 当範囲内で、修学時間のない日曜日に児童を労働させることは、別に修学日に法定休日が与えられていれば差し支えない。(修学日以外の日に休日を与えなくともよい)(通達)

 

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